「ひらがなやカタカナがやっと落ち着いてきたと思ったら、今度は漢字」「昨日書けたのに、今日はもう忘れている」「書き順がめちゃくちゃで、これでいいのか不安」。小1の2学期ごろから、漢字の宿題が増えてきて、そんなふうに感じているお母さん・お父さんも多いのではないでしょうか。
わたしは小学校の教員を10年つとめましたが、漢字の宿題は、家庭でのつき合い方で子どもの反応がずいぶん変わる単元でした。いまは親の立場でも、毎日の漢字練習をそばで見ています。今日は、元教員の目線で、小1の漢字を「無理なく続けられる形」でサポートするコツをお伝えします。
先に結論です。小1の漢字は、「書いて覚えさせる」より先に、「形をつかむ」「ことばとつなげる」ことから始めるほうが、続きやすい子が多いです。書き順やはね・はらいを、最初から完璧に求めなくて大丈夫です。順番にお話ししますね。
小1の漢字、まず知っておきたいこと
- 小学1年生で習う漢字は80字です(学習指導要領で決まっています)。1年間をかけて、少しずつ習っていきます。
- 学校では、1字ずつ、読み方と書き順を授業で教えてもらうのが基本です。家庭は「授業の復習・補助」くらいの気持ちで大丈夫です。
- 小1の漢字には、「山」「川」「日」「木」「人」のように、ものの形からできた、絵に近い漢字がたくさんあります。形のおもしろさから入ると、覚えやすい子が多いです。
小1の漢字で、つまずきやすいところ
教室で見てきて、つまずきやすいと感じたポイントは、おもに次の3つです。
- 形が似ている字を混同する(「日」と「目」、「右」と「左」、「大」と「犬」など)
- 読み方がいくつもある(「山」は「やま」「さん」、「日」は「ひ」「にち」など)
- 書き順が定まらない(自己流で書いてしまう)
これは、できていないのではなく、「覚えている途中」の状態です。1年生にとって、ひらがなよりもずっと複雑な形を覚えていくのですから、時間がかかるのはごく自然なことです。
家庭でできる教え方ステップ
ステップ① 「ことば」といっしょに覚える
漢字だけを単独で覚えようとするより、ことばや絵といっしょに覚えるほうが、記憶に残りやすいです。「山」なら、山の形に見えるね、と絵とつなげる。「休む」なら、人が木のそばで休んでいる形だよ、と教える(「休」は、人と木が組み合わさってできた漢字です)。
こうした「成り立ち」の話は、子どもが意外と喜びます。「なんでこの形なの?」から、「覚えてみようかな」に気持ちが動くことも多いです。
ステップ② まず「空書き」で、形をつかむ
いきなり鉛筆で書かせず、指で空中に大きく書く「空書き(そらがき)」から入ってみてください。教室でもよく使う方法です。親も一緒に、向かい合って大きく書いてみると、遊びのようになって、子どもが乗ってきます。
大きな動きで書くと、形と書き順が体に入りやすく、あとで鉛筆を持ったときに迷いにくくなります。小さなマスの中で書くのが苦手な子にも、おすすめの方法です。

ステップ③ なぞる→1字だけ自分で書く
次は、薄い字をなぞる、お手本を見て書く、と少しずつ手をはなしていきます。ここで大事なのは、1日にやる量を少なくすることです。たくさん書かせるより、「1日1〜2字を、ていねいに」のほうが、結果的に定着しやすいと感じています。
10回書いてもおぼえられないときは、書く回数を増やすより、ステップ①②(ことばとつなげる・空書き)に戻ってみてください。
ステップ④ 暮らしの中で「見つけた!」を増やす
漢字は、生活の中にたくさんあります。カレンダーの「日・月・火・水・木・金・土」や、絵本、お店の看板、駅の案内など。「この字、学校で習った字だね!」と見つけられると、子どもは「漢字って使えるんだ」と感じられます。習った漢字を、生活の中で出会うたびに声に出して読んでみるのも、音読の練習になります。

書き順・はね・はらいは、どこまで気にする?
書き順やはね・はらいは、気になりますよね。ただ、最初から全部を直そうとすると、子どもは「書くのがいやだ」と感じてしまいます。わたしがおすすめしているのは、次の3つです。
- 直すのは、1回に1か所だけ。 「ここだけ、気をつけてみようか」くらいで十分です。
- 「とめ・はね・はらい」の見方は、学校の先生によって少し違うことがあります。学校で配られるお手本やノートを基準にしましょう。
- まずは「形」と「読み」。 完璧な字より、「書けた!」「読めた!」の積み重ねを大切に。
読むほうの力は、毎日の音読ともつながっています。音読の宿題の声かけは音読が上達する声かけ|宿題の音読を意味あるものにで書いています。
ドリルやタブレットを使うなら
漢字ドリルや、タブレット学習を使うのも、ひとつの方法です。ただ、どの教材を選ぶ場合も、「毎日続けられること」が何より大事です。紙とタブレットの違いはタブレット学習 vs 紙のドリル|低学年はどっち?元教員の結論で整理しました。ひらがな・カタカナの練習教材の選び方は小1ひらがな・カタカナ練習ドリルの選び方も参考になります。
もし、ひらがなの段階で書くことに苦手さが出ている場合は、ひらがながなかなか書けない…焦らなくていい理由と教え方のステップも、漢字の練習に応用できます。
まとめ:漢字は「形・ことば・少しずつ」
小1の漢字は、「たくさん書かせる」より「少しずつ・楽しく」が続けやすいです。
- 小1で習う漢字は80字。1年かけて、ゆっくり
- ことばや成り立ちとつなげて覚える
- いきなり書かず、「空書き」で形をつかむ
- 1日1〜2字を、ていねいに
- 書き順・はね・はらいは、直すのは1回に1か所だけ
漢字が苦手でも、「算数や国語が苦手」というわけではありません。いまは、漢字と仲よくなる時期です。お子さんのペースで、「見つけた!」「書けた!」を一緒に喜んであげてくださいね。
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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。

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