算数の文章題が苦手な子への教え方|元教員のコツ

算数の文章題が苦手な子への教え方|元教員のコツ|アイキャッチ 教科のつまずき・教え方

「計算はできるのに、文章題になると手が止まってしまう」「問題文を読まずに、目についた数字を足したり引いたりしてしまう」。算数のつまずきとして、こうしたお悩みは本当によく聞きます。小1のお子さんを見ていて、心当たりのあるお母さん・お父さんも多いのではないでしょうか。

わたしは小学校の教員を10年つとめてきましたが、「文章題が苦手」という子は、どのクラスにも必ずいました。そしていま、小1の子の宿題を見る親の立場になっても、同じ場面に出会います。教える側と親の側、両方を経験して見えてきた「家庭での教え方」を、今日はお伝えします。

先に結論です。文章題が苦手な子の多くは、計算力の問題ではなく、「お話を場面として思い浮かべる力」がまだ育っている途中です。だから、家での教え方も「計算をもっとやらせる」ではなく、「文章を場面にして見る練習」に切り替えるのがコツです。順番にお話しします。

なぜ、文章題でつまずくのか

文章題を解くとき、子どもの頭の中では、実はこんな段階を踏んでいます。

  • ① 文章を読む
  • ② どんな場面か、頭に思い浮かべる(りんごが3つあって、2つもらった…)
  • ③ 「ふえるのか・へるのか」を判断する
  • ④ 式を立てる(3+2)
  • ⑤ 計算する

計算(⑤)ができる子でも、つまずくのはたいてい②と③です。文章を読んでも、その場面が頭に浮かばない。だから「ふえるのか・へるのか」が分からず、目についた数字をとりあえず足してしまう、というわけです。

教室で見てきて気づいたのは、文章題が苦手な子の多くは「計算が苦手」なのではなく「文をイメージに変える」のが苦手だということでした。ここを取り違えて計算ドリルばかり増やしても、文章題はなかなか変わりません。

文章題を解く5つの段階。つまずきやすいのは「場面を思い浮かべる」と「ふえる・へるを判断する」の2か所であることを示した図解
つまずきやすいのは②と③。ここを手助けするのがポイントです

家庭でできる教え方ステップ

ステップ① まず「おはじき」や「おもちゃ」で再現する

いちばんおすすめなのは、問題のお話を、実際にモノで再現することです。「りんごが3こ あります。2こ もらいました」という問題なら、おはじきやブロックを3つ並べて、そこに2つ足してみる。すると子どもは、目で見て「ああ、ふえるんだ」と分かります。

頭の中だけでイメージするのが難しい子も、手で動かして目で見れば分かることが多いです。教室でも、つまずいている子には、おはじきを持たせることがよくありました。家にあるもの(あめ、消しゴム、ミニカーなど)で十分です。

親子がおもちゃやブロックを動かして、文章題のお話を再現しているイラスト
「お話を、モノで動かしてみる」だけで、場面が見えてきます

ステップ② 「お話を絵にかく」習慣をつける

モノで分かるようになったら、次は絵にかいてみます。上手な絵である必要はありません。丸をいくつかかくだけで十分です。「3こ あって、2こ ふえた」を、○○○ + ○○ とかいてみる。これが、式につながる第一歩になります。

「絵がかけたら、式はどうなる?」と聞くと、子どもが自分で気づける場面が増えていきます。絵が自然にかけるようになると、頭の中でも場面を思い浮かべやすくなっていきます。

ステップ③ 「ふえる? へる?」を声に出して聞く

式を立てる前に、まず「このお話、ふえてる? へってる?」と、ひとこと聞いてみてください。目についた数字を足したり引いたりしてしまう子は、ここを飛ばして式に走りがちです。「ふえる・へる」を言葉にするだけで、式を間違えにくくなります。

ここで「ちがうでしょ」と言いたくなっても、ぐっとこらえて、「どうしてそう思ったの?」とたずねてみてください。子どもの考え方が分かると、どこでつまずいているのかが見えてきます。

ステップ④ 問題文を「親子で音読」してから始める

意外と多いのが、そもそも問題文を最後までていねいに読めていないケースです。読む力と文章題は、実はつながっています。まず、問題文を親子で一緒に音読してから取りかかるだけでも、場面が見えやすくなる子は多いです。音読の声かけについては音読が上達する声かけ|宿題の音読を意味あるものにで書いています。

文章題でやってはいけない「NG対応」

  • 「ここをよく読みなさい」とだけ言う。 読んでも場面が浮かばない子には、何のヒントにもなりません。
  • 「キーワードで足す・引くを決める」と教え込む。 「あわせて=足し算」のような覚え方は、問題が少し変わると通用しなくなることがあります。場面を思い浮かべる力を優先してあげてください。
  • 答えが合っているかだけを見る。 「どうやって考えたの?」のほうが、ずっと力になります。

まとめ:文章題は「計算力」ではなく「場面力」

文章題が苦手でも、「算数が苦手」というわけではありません。次の順番で、ゆっくり進めてみてください。

  • モノを動かして、お話を再現する
  • 絵(○)にかいて、見える化する
  • 式の前に「ふえる? へる?」を言葉にする
  • 問題文は、親子で一緒に音読してから

ステップ①は、繰り上がり・繰り下がりの教え方でも使える方法です。ぜひ繰り上がり・繰り下がりでつまずいたら|家での教え方もあわせて読んでみてください。小1全体のつまずきは小1で勉強につまずく子の共通点と、入学前にできることで整理しています。

一度に全部できるようにしようとせず、「できた!」をひとつずつ増やしていきましょう。お子さんのペースで、大丈夫です。

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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。

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