「うちの子、入学してから勉強につまずかないかな」――入学前、ふとした瞬間にそんな心配がよぎること、ありますよね。何かしてあげたいけれど、何をすればいいのかわからない。そんなお母さん・お父さんに向けて、今日はお話しします。
わたしは小学校の教員を10年つとめ、いまは3人の子の親で、うち1人が小1です。たくさんの1年生を見てきて、「つまずく子」には、実はいくつかの共通点がありました。そして大事なのは――その共通点の多くは、勉強そのものではなく「勉強の手前」にあるということです。
先に結論です。小1でつまずく子のつまずきは、「頭の良し悪し」ではなく、たいてい「習慣」と「自信」の問題です。だからこそ、入学前にできることがあります。順番にお話しします。

小1で勉強につまずく子の「共通点」
誤解しないでほしいのですが、これは「こういう子はダメ」という話ではありません。つまずきの“サイン”を早めに知っておけば、早めに手を打てる――そのための共通点です。
① 「机に向かう習慣」がない
いちばん多いのがこれです。勉強の中身以前に、「決まった時間、すわって何かに取り組む」こと自体に慣れていない子は、最初につまずきやすいです。逆に、たとえ短くても毎日机に向かう習慣がある子は、勉強の中身が多少むずかしくても、コツコツ追いついていけます。
② 「わからない」を言えない・隠してしまう
つまずきが大きくなる子に共通するのが、「わからない」を出せないことです。間違えるのが怖い、できない自分を見せたくない。その気持ちから「わかったふり」をしてしまうと、わからないところがどんどんたまっていきます。これは家庭での声かけと深く関わっています(後で触れます)。
③ 「聞く力」が育っていない
小学校の授業は「先生の話を聞いて動く」が基本です。最後まで話を聞く・指示を聞いて行動する力が弱いと、勉強がわからないというより「何をするかがわからない」状態になりがちです。これは家庭での会話の中で育てられます。
④ 「失敗=怖いこと」になっている
意外と見落とされがちですが、大きな要素です。間違いを強く叱られてきた子や、完璧を求められてきた子は、「間違えるくらいなら、やらない」を選びがちになります。学びは間違いの連続なので、これはとても苦しい状態です。
入学前にできること――「勉強」より「土台」を
共通点を裏返すと、入学前にできることが見えてきます。どれも、ドリルを買わなくてもできることばかりです。
① 「短く・毎日すわる」習慣をつくる
1日5〜10分でかまいません。毎日決まった時間に、すわって何かに取り組む。中身はぬりえでも、絵本でも、シールでもOKです。大事なのは「内容」ではなく「すわって取り組むリズム」。この習慣があるだけで、入学後のスタートがまるで違います。
② 「わからない・できない」を安心して言える空気をつくる
これがいちばん大切かもしれません。子どもが「これわからない」と言ったとき、「よく言えたね」「いっしょに考えよう」と返す。この積み重ねで、子どもは「わからないと言っていいんだ」と学びます。家で安心して「わからない」が言える子は、学校でも手を挙げて聞けるようになります。
③ 「最後まで聞く」を遊びの中で育てる
難しいことはいりません。絵本の読み聞かせ・お手伝いの指示・しりとりなどの言葉遊び――こうした日常のやりとりが、「聞く力」を育てます。「冷蔵庫から牛乳を出して、テーブルに置いてね」のように2つの指示を一度に伝えるのも、よい練習になります。
④ 結果より「やったこと」をほめる
「できた/できない」より、「やってみたこと」「最後までがんばったこと」をほめる。間違えても「チャレンジしたのがえらい」と返す。この関わりが、「失敗してもいい」という土台をつくります。失敗を怖がらない子は、つまずいてもすぐ立ち直ります。

つまずきのサインに気づいたら
入学後、もし「つまずいているかも」と感じても、あわてないでください。小1のつまずきは、早く気づけば取り返しやすいです。家庭でできるのは、責めることではなく「どこでつまずいているかを、いっしょに見つけること」。そして気になるときは、ひとりで抱えず担任の先生に連絡帳でひとこと相談を。先生はむしろ早く知らせてもらえたほうが助かります。
教室では、入学してすぐにつまずきかけていた子が、2学期にはすっかり落ち着いて授業を受けているという場面を何度も見てきました。共通していたのは、特別なドリルではなく、「わからない」を持ち帰らせず、その日のうちに家庭で軽く聞いてもらえていたことです。「今日はどんなこと習った?」と聞いてもらえるだけで、子どもは「わからないままにしなくていいんだ」と安心できます。つまずきかけていても、そこからちゃんと伸びていく子はたくさんいます。
まとめ:つまずきの正体は「習慣」と「自信」
小1のつまずきは、頭の良し悪しではありません。多くは「勉強の手前」にあります。
- つまずく子の共通点……机に向かう習慣がない/わからないを言えない/聞く力が弱い/失敗が怖い
- 入学前にできること……短く毎日すわる/わからないを言える空気/最後まで聞く遊び/結果よりやったことをほめる
どれも特別な教材はいりません。毎日のちょっとした関わりが、いちばんの「入学準備」です。お子さんを思って心配になるその気持ちが、すでに大きな土台になっています。気負わず、できそうなことから一緒に始めていきましょう。
入学までの準備全体は「【2027年度入学】入学準備スケジュール」に時期ごとにまとめています。ひらがなの「どこまで書ける必要があるか」が気になる方は「入学前にひらがなはどこまで書ける必要がある?元教員の本音」も、あわせてどうぞ。入学後の朝の過ごし方については「入学後に差がつく『朝の習慣』|伸びる子の家庭がやっていること」でもお話ししています。
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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。


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