「宿題やりなさい」「えー、あとで」「あとでっていつ?」……このやりとり、毎日くり返していませんか。学校から帰ってきても、なかなか机に向かわない。声をかけるたびに、こちらの気持ちもすり減っていく。そんなふうに感じているお母さん・お父さんは、本当に多いと思います。
わたしは小学校の教員を10年つとめてきましたが、いまは3人の子を育てる親でもあります。そのうち1人は小1で、やっぱり「宿題やりたくない」と言う日があります。教える側と親の側、両方を経験して見えてきた「効く声かけ・逆効果な声かけ」を、今日は具体的にお伝えします。
先にお伝えしておきたいのは、宿題をやりたがらないのは、その子のやる気や性格の問題ではないことがほとんどだということです。多くの場合、「始めるハードルが高すぎる」だけなんです。だから、声かけを少し変えるだけで、すっと動き出すことがよくあります。

なぜ「やりなさい」では動かないのか
子どもにとって「宿題」という言葉は、ぼんやりした大きなかたまりに聞こえています。何を・どれくらい・いつまでやればいいのかが見えていないと、大人でも腰が重くなりますよね。それと同じです。
教室でもよく見てきましたが、動けない子の多くは「やりたくない」のではなく、「どこから手をつけたらいいか分からない」状態です。そこに「早くやりなさい」と圧をかけると、よけいに頭が固まって、手が止まってしまいます。声かけのコツは、かたまりを小さくほぐしてあげること。これに尽きます。
NG→OK:そのまま使える声かけ集
① 「宿題やりなさい」 → 「今日の宿題、何が出てるか見てみよう」
いきなり「やる」のではなく、まず一緒に中身を確認するだけ。これが最初のハードルをぐっと下げます。「漢字3つと、音読1ページか。これならすぐ終わりそうだね」と見通しが立つと、子どもは動きやすくなります。
② 「早くしなさい」 → 「どれから始める?」
「早く」は急かすだけで、何の手がかりにもなりません。代わりに選ばせてあげると、子どもは「自分で決めた」という気持ちで取りかかれます。好きな科目・簡単な科目から始めてOK。最初の1つが終われば、勢いがついていくものです。
③ 「まだやってないの!」 → 「あと何分くらいでできそう?」
責める言葉は、子どもの手を止めます。「あと何分?」とゴールを自分で見積もらせると、ゲーム感覚で取り組めます。「10分!」と言った子が15分かかっても、そこは責めないであげてください。見積もる経験そのものが、見通しを立てる力になります。
④ 「ちゃんとやったの?」 → 「ここまでできたね。見せて見せて」
終わったあとの声かけも大事です。点検モードの「ちゃんとやった?」より、うれしそうに見てあげるほうが、次の日のやる気につながります。間違いがあっても、まずは「最後まで終わらせたこと」をひとこと認めてあげてください。

声かけの前に、整えておきたいこと
声かけと同じくらい大事なのが、「始めやすい環境」です。どんなにいい声かけをしても、テレビがついていたり、机の上が散らかっていたりすると、子どもの気持ちはそちらに流れます。
- 宿題の時間を「いつも同じ」にする(例:おやつのあと)
- 始める前に、机の上を宿題だけにする
- 親も近くで、自分のことをする(同じ空間にいるだけで安心します)
とくに低学年のうちは、「ひとりでやりなさい」より「同じ空間で、それぞれのことをする」ほうがうまくいきます。親が隣で家計簿や読書をしているだけで、子どもは落ち着いて机に向かえるんです。
いまの時期なら、夏休みで生活リズムそのものが崩れがちなことも、宿題が進まない大きな原因になります。1日の組み立て方は小1の夏休みの過ごし方で詳しくお話ししているので、あわせて読んでみてください。
それでも動かない日があってもいい
ここまで具体的な声かけをお伝えしてきましたが、最後にひとつだけ。どんな声かけをしても、動かない日は必ずあります。疲れている日、気分が乗らない日。それは大人も同じですよね。
そんな日は、「今日は音読だけにしておこうか」とハードルをぐっと下げてしまうのも立派な選択です。「毎日少しでも机に向かった」という積み重ねのほうが、1日完璧にやることより、ずっと先につながっていきます。
なお、夏休みの宿題のように量が多いものは、声かけだけでなく「計画の立て方」もセットで効いてきます。具体的なやり方は夏休みの宿題を早く終わらせるコツにまとめています。
まとめ:宿題は「やらせる」より「始めやすくする」
宿題をやりたがらない子に必要なのは、強い言葉ではなく、始めるハードルを下げてあげる声かけです。
- 「やりなさい」より「何が出てるか見てみよう」
- 「早く」より「どれから始める?」
- 終わったら、まず「できたね」を伝える
声かけを少し変えるだけで、毎日のバトルがふっと軽くなることがあります。お母さん・お父さんも、どうか自分を責めすぎないでくださいね。動かない日があっても、それで大丈夫です。
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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。


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