「うちの子、お友だちとうまくいっていないみたい……」。子どもが学校での出来事をぽつりとこぼしたとき、親の胸はぎゅっと痛みます。すぐにでも何とかしてあげたい。でも、学校にどう伝えればいいの? 大げさにして、かえって子どもが気まずくならないかな……。そんなふうに、相談すべきか迷ってしまうお母さん・お父さんは、とても多いです。
わたしは小学校の教員を10年つとめて、たくさんの友だちトラブルに向き合ってきました。そして今は、3人の子のうち1人が小1。今度は「わが子のトラブルに悩む親」の側です。両方を経験して言えるのは、友だちトラブルは「相談の仕方」しだいで、解決のスムーズさが大きく変わる、ということです。
今日は、先生がトラブルをどう受け止め、どう動いているのか、その裏側もまじえながら、「学校への上手な相談のしかた」をお話しします。先に大事なことをお伝えすると、相談は「決して悪いこと」ではありません。むしろ先生は、早めに教えてもらえることをありがたいと思っています。

まず家でやること:「ジャッジせずに、最後まで聞く」
学校に相談する前に、ひとつだけ大切なことがあります。それは、子どもの話を、途中で評価せずに最後まで聞くこと。「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」も、「そんな子とは遊ばなくていい!」も、いったん横に置きます。
子どもは、親が驚いたり怒ったりすると、それ以上話さなくなってしまいます。「そうだったんだ」「それはいやだったね」と、まずは気持ちを受け止める。事実の正確さより、まず気持ちに寄り添うのが先です。教員時代も、安心して話せる子ほど、状況を正確に教えてくれました。家でも同じなんです。
そのうえで、「いつ」「どこで」「誰と」「何があったか」を、責めない口調でそっと聞いておくと、いざ学校に相談するときに伝わりやすくなります。ただし、低学年の子の話は記憶が前後したり、主観が強かったりするもの。「子どもから見た事実」として受け取るくらいが、ちょうどいいです。
相談するときの伝え方:3つのポイント
① 「事実」と「お願い」を分けて伝える
先生にいちばん伝わるのは、「家でこういう様子があった」という事実と、「学校で様子を見てほしい」というお願いを、分けて伝える形です。「〇〇さんにこう言われたと、子どもが泣いていました。学校での様子を見ていただけますか?」というように。
逆に避けたいのは、子どもの話だけをもとに「相手の子が悪い」と決めつけて伝えること。先生は双方の話を聞いて、はじめて全体像をつかみます。最初から片方を犯人扱いしてしまうと、先生も動きづらくなります。「うちの子はこう感じている。事実関係を確かめてほしい」というスタンスが、いちばん先生を動かしやすいんです。
② 「どうしてほしいか」を、ひとこと添える
相談を受けたとき、先生がいちばん知りたいのは、「親御さんは、どうなることを望んでいるのか」です。「しばらく様子を見てほしい」のか、「相手の子と話す機会を作ってほしい」のか、「とりあえず聞いてもらえれば、それで安心」なのか。
ここがあいまいだと、先生も「どこまで動いていいんだろう」と迷ってしまいます。逆に、望みが一言あるだけで、先生はぐっと動きやすくなります。「まずは気にかけて見ていただけると安心です」くらいのやわらかい伝え方で、十分です。
③ 込み入った話は「電話か、時間を取って」
軽いことなら連絡帳でも構いませんが、少し込み入ったトラブルは、電話か、時間を取ってもらって直接話すのがおすすめです。連絡帳は朝の忙しい時間に読まれるため、ニュアンスが伝わりにくく、文字だけだと誤解も生まれやすいからです。
「お電話で少しご相談したいことがあります」と一言入れておけば、先生も心づもりができます。顔の見える形で話すほうが、お互いの温度感が伝わって、結果的にスムーズに進むことが多いです。
連絡帳にお願いの一言を書くときの、先生に伝わりやすい書き方は、こちらの記事にまとめています。
👉 先生に伝わる連絡帳の書き方

先生は、トラブルをこう見て、こう動いている
裏側の話を少しすると、先生はトラブルの相談を受けたとき、すぐに片方を叱る、ということはあまりしません。まずはそれとなく様子を観察し、双方の子から話を聞き、必要なら間に入って関係を調整していきます。これは、片方だけを責めると、かえって関係がこじれたり、子ども同士が学ぶ機会を奪ったりすることがあるからです。
だから、相談したのにすぐ目に見える動きがなくても、「先生が何もしていない」とは限りません。むしろ、慎重に見守っている最中かもしれない。心配なときは、「その後、学校での様子はどうですか?」と、数日後にそっと確認してみてください。責めるのではなく、状況を共有し続けることが、解決への近道です。個人面談の機会があれば、そこでじっくり聞いてみるのもおすすめです。面談での聞き方のコツは、こちらの記事にまとめています。
👉 個人面談で先生に聞くべきこと・聞かなくていいこと
ひとつだけ。暴力や、続く・繰り返されるいじめが疑われる場合は、遠慮なく、はっきりと、早く伝えてください。これは「様子を見る」段階ではありません。担任に伝わりにくいときは、学年主任や管理職に相談する道もあります。子どもの安全に関わることは、大げさかなと迷うより、早めに動くほうが、ずっと良い結果になります。
まとめ:相談は「責める」ではなく「一緒に見守る」
友だちトラブルの相談で大切なのは、次のことです。
- まず家で、子どもの気持ちを最後まで聞く
- 「事実」と「お願い」を分けて、片方を決めつけずに伝える
- 「どうしてほしいか」を、ひとこと添える
- 込み入った話は、電話か時間を取って
- 安全に関わることは、迷わず早く・はっきりと
相談することは、決してモンスターでも過保護でもありません。先生と親が一緒に、子どもの世界を見守るということ。子どものトラブルは、成長のチャンスでもあります。一人で抱え込まず、先生という心強い味方と、どうか手をつないでください。
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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。


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