先生はここを見ている|通知表・評価の裏側

学校生活・先生とのつき合い方

学期末、子どもが持ち帰ってくる通知表。封筒を開けるとき、ちょっとドキドキしますよね。「◎が少ない……」「去年より下がった気がする」。そんなふうに、つい一喜一憂してしまうお母さん・お父さんは、きっと多いと思います。

わたしは小学校の教員を10年つとめて、何百枚もの通知表をつけてきました。そして今は、3人の子のうち1人が小1。今度は「通知表を受け取る親」の側です。両方の立場を経験して、ぜひお伝えしたいことがあります。それは、通知表は「順位表」ではなく、先生からの「お手紙」のようなものだということ。そして、先生が本当に見ているのは、記号の数ではない、ということです。

今日は、ふだんあまり語られない「評価の裏側」を、できる範囲で正直にお話しします。通知表の見方が少し変わると、子どもへの声かけも、きっと変わってきます。

家で子どもと一緒に通知表を見ながらほほえむ親のイラスト
通知表は、子どもと一緒に「先生からのお手紙」として読むのがおすすめです

今の通知表は「ほかの子との比較」ではない

まず、いちばん大事な前提から。今の小学校の通知表は、クラスの中で何番目か、を表すものではありません。「この学年で、これくらいは身についてほしい」という目標(学習指導要領にもとづくもの)に対して、その子がどこまで到達しているかを見る形が基本です。いわゆる「目標に準拠した評価(絶対評価)」と呼ばれるものです。

だから、「◎がいくつ」で隣の子と比べることに、あまり意味はありません。比べるべきは、いつも「前の学期のわが子」。先生も、その子なりの伸びを見てつけています。記号の数に一喜一憂するより、「前より、ここができるようになったね」と一緒に確かめるほうが、ずっと子どもの力になります。

先生が「ここを見ている」3つのこと

① テストの点数だけでは、つけていない

意外に思われるかもしれませんが、評価はテストの点数だけで決まるものではありません。今の評価はいくつかの観点に分かれていて、たとえば「知識・技能」だけでなく、「考えようとする力」や「学びに向かう姿勢」なども見ています。

つまり先生は、テストの裏側にあるノートの書きこみ、授業での発言、課題への取り組み方、毎日の小さな積み重ねまで見て、総合的に判断しているんです。「テストはいい点なのに、なぜここが◎じゃないの?」と感じることがあるかもしれませんが、それは先生が点数に表れない部分まで見ているから。逆に、テストが少し苦手でも、こつこつ取り組む姿勢はちゃんと評価されています。

② 結果より「過程」と「伸び」を見ている

先生が日々いちばん目を向けているのは、「その子が、どう変わってきたか」です。最初は手をあげられなかった子が、勇気を出して発言した。漢字が苦手だった子が、毎日こつこつ練習を続けた。こうした過程と伸びは、通知表の数字には載りきらなくても、先生の心にはしっかり刻まれています。

だからこそ、もし所見欄(先生のコメント)に「〇〇を頑張っていました」と書いてあったら、それは形式的な言葉ではなく、先生がその子をちゃんと見ていた証拠です。数字よりも、まずそのコメントを、子どもと一緒に読んであげてほしいんです。

③ 評価を「下げる」ことに、先生はすごく慎重

これは、つけていた側として正直にお伝えしたいことです。先生は、ひとつの評価をつけるのに、本当に何度も悩みます。とくに低い評価をつけるときは、「この子のやる気を削いでしまわないか」と、ものすごく慎重になります

もし、いつもより評価が下がっている項目があったとしたら、それは「ここを、もう少し一緒に見てあげてほしい」という、先生からのサインかもしれません。責めているのではなく、「次の学期、ここに目を向けるといいですよ」というメッセージ。そう受け取ってもらえると、通知表がぐっと前向きなものに変わります。

それでも「この評価、どういう意味だろう?」と気になるときは、個人面談で先生に率直に聞いてみて大丈夫です。先生は、聞かれて困るどころか、むしろ「関心を持ってもらえている」とうれしく感じるものです。聞き方のコツは、個人面談で聞くべきことをまとめた記事で詳しくお話ししています。

通知表が返ってきたとき、家でどう声をかける?

では、受け取った親はどう関わればいいのか。おすすめの順番は、こうです。

  • まず「頑張ったね」……記号を見る前に、一学期間を過ごしきったことをねぎらう。
  • 所見欄を一緒に読む……先生が見つけてくれた「良いところ」を、声に出して共有する。
  • 伸びた項目を見つけて喜ぶ……「ここ、前よりできるようになったね」と、伸びにフォーカスする。
  • 気になる項目は「どうする?」と一緒に考える……責めるのではなく、次への作戦会議にする。

やってしまいがちなのが、開いた瞬間に「なんでこれが△なの!」と反応してしまうこと。気持ちは本当によく分かります。でも、子どもにとって通知表は、一学期の自分そのもの。最初の一言が否定だと、頑張りごと否定された気持ちになってしまうんです。まず認める。話はそれからで十分です。

通知表が返ってきたときの声かけ4ステップの図解:①まず頑張ったね②所見欄を一緒に読む③伸びた項目を見つけて喜ぶ④気になる項目は作戦会議に
「①ねぎらう → ②所見欄 → ③伸びを喜ぶ → ④作戦会議」の順で声をかけてみてください

まとめ:通知表は「順位」ではなく「お手紙」

通知表の裏側を知ると、見え方が変わってきます。覚えておいてほしいのは、次のこと。

  • 今の評価は「ほかの子との比較」ではなく、目標への到達度
  • 先生はテストの点だけでなく、過程・姿勢・伸びを見ている
  • 所見欄こそ、先生がその子を見ていた証拠
  • 下がった項目は「次に目を向けてほしい」というサイン

記号の数に一喜一憂しすぎず、先生からの「お手紙」として、子どもと一緒に読んでみてください。比べる相手は、いつだって半年前のわが子。その伸びに気づいて喜べる親でいられたら、子どもはきっと、また次も頑張ろうと思えます。それが、通知表のいちばん良い使い方だと、わたしは思っています。

そして、通知表は年に数回だけの「お手紙」ですが、先生とのやりとりはふだんの連絡帳でもできます。先生に伝わる連絡帳の書き方も、あわせて読んでみてください。

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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。

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