「個人面談、もうすぐだけど……何を話せばいいんだろう」。担任の先生と差し向かいで話せる、年に1〜2回の貴重な時間。そう思うほど、いざ当日になると「えっと、特に困っていることは……」と言葉につまってしまう。そんなお母さん・お父さんは、実はとても多いんです。
わたし自身、小学校の教員を10年つとめて、何百回と個人面談の席に座ってきました。そして今は、3人の子のうち1人が小1。今度は「面談を受ける親」の側にも立っています。両方の席に座ってみて、はっきり分かったことがあります。面談は「聞き方」と「聞く中身」を少し変えるだけで、得られるものがまるで違ってくる、ということです。
今日は、先生側の本音もまじえながら、「聞くべきこと」と「実は聞かなくていいこと」を分けてお話しします。10分前後の短い面談を、ぐっと実りあるものにするためのヒントとして読んでもらえたらうれしいです。

そもそも、個人面談は「短い」と思っておく
まず前提として、個人面談の時間は学校によって幅がありますが、1人あたり10〜15分ほどに区切られていることが多いです。先生は何十人分もの面談を一日で回しています。前のご家庭が長引けば、後ろにどんどんしわ寄せがいく。だから先生は内心、「短い時間で、いちばん大事なことを話したい」と思っています。
ここを知っておくだけで、面談の臨み方が変わります。「あれもこれも」と話そうとすると、結局どれも中途半端に終わってしまう。だからこそ、「これだけは聞きたい」を1〜2個にしぼっておくのが、いちばん満足度が高い受け方なんです。
面談で「聞くべきこと」3つ
① 家では見えない「学校での様子」
いちばん価値があるのは、家では絶対に見えない、集団の中でのわが子の姿です。「お友だちとはどんなふうに過ごしていますか?」「授業中、どんなときに生き生きしていますか?」。こうした質問は、先生がいちばん答えやすく、しかも親にとって新鮮な情報が返ってきます。
教員時代、わたしがうれしかったのは、こういう質問でした。なぜなら、「この親御さんは、子どもを学校という社会の中で見ようとしているんだな」と伝わるからです。点数や順位ではなく、子どもの育ちそのものに関心を向けてくれている。そう感じると、先生のほうも自然と「実はこんな良いところがあって……」と、ふだん言いそびれていたエピソードまで話したくなるものなんです。
② 「家でどう関わればいいか」の具体策
もし気になっていること(勉強、忘れ物、お友だち関係など)があるなら、「家ではどう関わるといいでしょう?」と、具体的なアドバイスを求める形で聞くのがおすすめです。
同じ心配ごとでも、「うちの子、大丈夫でしょうか?」と漠然と聞くより、「算数でつまずいているようなのですが、家でできる声かけはありますか?」と聞くほうが、先生もぐっと答えやすくなります。先生は学校での様子を、親は家での様子を持ち寄って、「じゃあ家ではこうしてみましょうか」と作戦会議をする。これが面談の本来の使い方だと、わたしは思っています。
③ 親が伝えておきたい「家庭の事情」
意外と忘れがちですが、面談は「親から先生へ伝える場」でもあります。たとえば、下の子が生まれて落ち着かない時期だとか、引っ越しや家庭の変化で気持ちが不安定かもしれない、といったこと。話せる範囲でかまいません。
こうした背景を知っているかどうかで、先生の見守り方は確実に変わります。教室でその子が少し元気のない日があったとき、「そういえば、おうちで変化があるんだったな」と思い出せるだけで、声のかけ方が変わるんです。プライベートを全部話す必要はまったくありませんが、「知っておいてもらえると助かること」は、面談で伝えておく価値があります。
逆に「聞かなくていいこと」
ここからは、先生の側に立っていたからこそ言える、少しだけ正直な話です。「聞いてはいけない」ではなく、「短い面談では、優先度を下げてもいいこと」として読んでください。
- 「うちの子、クラスで何番目くらいですか?」……順位やほかの子との比較は、先生も答えづらく、聞いても親の不安が増えるだけのことが多いです。
- 連絡帳やお便りに書いてある情報……行事の日程や持ち物など、すでに配られている情報を面談で確認すると、貴重な時間がもったいないです。
- その場で答えが出ない大きな相談……深刻なトラブルや込み入った相談は、10分の面談より「別途お時間ください」とお願いするほうが、丁寧に対応してもらえます。
とくに「ほかの子との比較」は、聞いても良いことがあまりありません。先生は基本的に、ほかの子の情報をその子の親に話すことはできない立場ですし、比較で見えるのは「順位」だけで、「わが子がどう育っているか」は見えてこないからです。比べる相手は、いつも「半年前のわが子」で十分なんです。

面談前に、メモを1枚だけ用意しておく
当日に言葉がつまってしまうのを防ぐために、わたしがおすすめしているのは、小さなメモを1枚だけ用意していくことです。書くのはこれだけで十分です。
- いちばん聞きたいこと(1つ)
- 家での様子で、伝えておきたいこと(1つ)
たったこれだけでも、面談の濃さがまるで変わります。先生の側からしても、「準備してきてくださったんだな」と伝わって、自然と背筋が伸びるものです。今は親としてその立場になって、メモを1枚持っていくだけで、自分の気持ちも落ち着くのを実感しています。
まとめ:面談は「作戦会議」のつもりで
個人面談は、先生から「評価」を聞く場ではなく、先生と親が、わが子のために情報を持ち寄る「作戦会議」です。聞くべきは次の3つ。
- 家では見えない、学校でのわが子の様子
- 家でどう関わればいいか、具体的なアドバイス
- 知っておいてもらえると助かる、家庭の事情
逆に、順位の比較やお便りに載っている情報は、優先度を下げて大丈夫。短い時間だからこそ、しぼって臨む。それだけで、先生との距離もぐっと縮まります。緊張しすぎず、「一緒にこの子を見ていく仲間」に会いにいくくらいの気持ちで、どうぞ行ってきてください。
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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。

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