子どものやる気を引き出すほめ方・叱り方

やる気を引き出すほめ方・叱り方のアイキャッチ 声かけ・親の関わり方

「ほめて伸ばすって言うけど、どうほめればいいの?」「叱っちゃいけないの?でも、叱らないと分からないこともあるし……」。子育てをしていると、ほめ方も叱り方も、正解が分からなくなりますよね。ほめすぎてもダメな気がするし、叱れば自己嫌悪になる。そんなふうに揺れているお母さん・お父さんは、本当に多いと思います。

わたしは小学校の教員を10年つとめ、いまは3人の子を育てる親です。教室で何百人もの子をほめ、ときに叱ってきた経験と、わが子と日々向き合っている今の実感から、「やる気につながるほめ方・叱り方」を、具体的にお伝えします。

結論を先に言うと、コツはどちらも同じです。「結果」ではなく「過程」に目を向けること。これだけで、ほめ方も叱り方も、ぐっと子どもに届くようになります。

親子でハイタッチをして笑い合っているイラスト
「できたこと」より「がんばった過程」に目を向けるのがコツです

ほめ方:「すごいね」より「ここがいいね」

ほめること自体は、とても大事です。ただ、「すごいね」「えらいね」だけだと、実はあまり力になりません。何がよかったのか伝わらないので、子どもは「次もどうすればいいか」が分からないんです。

おすすめは、具体的に・過程をほめること。教室でも、漠然と「上手!」と言うより、「ここの線、ていねいに書けてるね」と具体的に言ったほうが、子どもの表情がぱっと変わりました。

  • ❌「100点すごい!」 → ⭕「毎日コツコツやってたもんね。それが出たね」
  • ❌「頭いいね」 → ⭕「分からないところ、あきらめずに考えてたね」
  • ❌「えらいえらい」 → ⭕「自分から机に向かえたの、いいね」

ポイントは、「頭がいい」など生まれつきの能力ではなく、「努力した過程」をほめること。「がんばればできる」と感じた子は、難しいことにも挑戦できるようになります。逆に「頭がいいから」とほめられ続けると、失敗を恐れて挑戦しなくなる、という面もあるんです。

叱り方:「人格」ではなく「行動」を

「叱ってはいけない」とは、わたしは思いません。よくないことは、きちんと伝える必要があります。大事なのは「何を」叱るかです。叱っていいのは「行動」であって、「その子自身(人格)」ではありません

  • ❌「だらしない子ね」(人格) → ⭕「宿題、机に出しっぱなしだよ」(行動)
  • ❌「なんでいつもこうなの」(人格) → ⭕「今日は約束の時間を過ぎちゃったね」(行動)
  • ❌「ダメな子ね」(人格) → ⭕「この言い方は、相手が悲しくなっちゃうよ」(行動)

「だらしない子」と言われると、子どもは「自分はダメな人間なんだ」と受け取ってしまいます。でも「机に出しっぱなしだよ」なら、直すべき行動がはっきり分かる。叱られても、人格を否定されていないので、立ち直りやすいんです。教室でも、行動に絞って伝えた子のほうが、すっと直してくれました。

叱るときの3つの注意点

  • 短く伝える……長い説教は、途中から耳に入りません。「一回、ひとこと」が届きます。
  • 過去を持ち出さない……「この前も」「いつも」をつけると、反発だけが残ります。今回のことだけを。
  • 他の子と比べない……「お兄ちゃんは」「〇〇ちゃんは」は、やる気ではなく劣等感を生みます。

この3つを外すだけで、叱ったあとの空気がずいぶん変わります。叱る目的は、子どもをへこませることではなく、行動を変えること。そこを思い出すと、言葉が自然と短く・具体的になっていきます。

ほめ方叱り方のNG例とOK例を対比した図解
NG→OKの言い換えは、そのまま今日から使えます

教室でも、叱ったあとにフォローの言葉をかけると、子どもの切り替えの早さがまったく違いました。「さっきは注意したけど、今の取り組み方はいいね」。このひとことがあるだけで、叱られたことを引きずらず、次の行動に気持ちを向けられる子が多かったです。逆に、叱りっぱなしにしてしまうと、しばらく元気がなくなってしまうことも。フォローの一言は、叱ること以上に子どもの気持ちを動かします。

いちばん大事なのは「叱ったあと」

叱り方のテクニックをお伝えしてきましたが、本当に大事なのは叱ったあとのフォローかもしれません。叱ったままにせず、子どもがちゃんとできたときに、すかさず認めてあげる。これがあるかないかで、叱る効果はまったく変わります。

「さっきは出しっぱなしだったけど、ちゃんと片づけたね」。この一言があると、子どもは「叱られた=嫌われた」ではなく「直したら認めてもらえた」と感じられます。叱ると認めるは、セット。これを意識するだけで、叱ることへの罪悪感もずいぶん軽くなります。

まとめ:ほめるも叱るも「過程と行動」に

やる気を引き出すほめ方・叱り方のコツは、たった2つです。

  • ほめるとき:「結果」より「過程」を、具体的に
  • 叱るとき:「人格」ではなく「行動」を、短く

そして、叱ったら必ず「できたとき」に認めてあげる。完璧にできなくて大丈夫です。わたしも、つい「すごいね」で済ませたり、長く叱ってしまったりします。気づいたときに、少し言い方を変えてみる。それで十分、子どもには伝わっていきます。

日々の関わり方全体については「伸びる子の家庭に共通していた習慣|10年で見えたこと」にもまとめています。宿題への声かけで悩んでいる方は「宿題をやりたがらない子への声かけ|NG例→OK例」も、あわせてどうぞ。教えていてイライラしてしまう、という方には「我が子に勉強を教えるとイライラする…元教員でもそうだった話」もお話ししています。

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元小学校教員(指導歴10年)/3児を育てる現役の親(うち1人が小1)
教室で見てきたことと、わが子で試したことを土台に書いています。
「正解」ではなく「一緒に考えるヒント」として読んでもらえたらうれしいです。

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